ブラックコーヒー

□彼氏の余裕

1番後ろの右側窓側の席、バスに揺られて呆けていた。


パリッとした制服に、やっと咲き始めた桜。

少し慣れてきた高校生活とバス通学にまだ緊張していた私。


高校に入学してから2週間ほど。
毎朝の日課は通学途中のイケメン探し。

特に見ていたのは…、スーツだった。



『次は、市役所前、市役所前です。』

『あ…。』



あの人、イケメン…。

バスに乗り込んできた彼に、目を奪われた。


グレー地に黒っぽいストライプのラインのスーツをビシッと着こなして、キャラメル色の革靴を履いたオシャレなサラリーマン。
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