ブラックコーヒー
「…華の大学生だってのに、なんでアンタと飲んでるの、あたしは。」



あたしは頬杖をつきながら目の前の男を見た。



「いいだろ、まだお互い上京したばっかで心許せるような知り合いとか全然いないんだし。」

「うっちーならすぐにできるでしょ。」



そう投げやりに言うと、ソイツは笑って「杏こそ。」と言った。

いつからだろう、コイツに名前を呼ばれると…なんだか落ち着かないのは。



「…杏?」

「何よ。」



うっちーの家のテーブルに空いた缶を並べていると、うっちーが呆れたように声をかけてきた。



「お前、失恋でもしたのか?」

「は…?」
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