ブラックコーヒー

■消えない影

家に帰ると、すでにリビングに空き缶が転がっていた。



「はぁー…。おい一樹ぃ…。」

「おっかえりーぃ♪」

「もう酔ってるとか…。」

「ないない! まだ4本目だからなっ。」



一樹が酒に強くてよかった…。
ザルじゃないのは痛いが。



「で、どーだったー? あの子。」



やっぱりそれを訊きに来たのか…。

俺は自分の分のビールに手をかけて言った。



「どうもこうもねぇよ。」

「なぁんだそりゃ!」

「ただ…。」

「んっ?」

「…………いや。」



絶対ぇ言わない。
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