やわらかな夜
「いただきます」

「はい、どうぞ」

俺はみそ汁を1口すすった。

「――美味い…」

あまりの美味しさに、思わず声が出てしまった。

「シュージの口にあったみたいでよかった」

あかりはホッとしたように笑った。

「お前が全部作ったのか?」

箸で朝食を指差した俺に、
「あたし以外に誰がいるの?」

あかりが言った。

ごもっともだ。

「冷蔵庫の中にあったもので、だけどね」

あかりはフフッと笑った。

朝食を終えると、俺は会社へ行く準備をした。

「行ってらっしゃい」

あかりが玄関に見送りにきた。

俺は答えるように手を振ると、ドアを開けた。
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