やわらかな夜
「シュージ」

あかりが俺の名前を呼んだ。

「――焼き肉に、するか?」

俺はあかりに言った。

「久しぶりだし、どう?」

そう言った俺にあかりが笑った。

「いいね!

じゃ、決定!」

無理して作った笑顔と明るい声に、俺の胸がチクリと痛んだ。

別に無理する必要なんてないのにと思う俺は、わがままなんだろうか?

あかりを知りたい。

躰とコーヒー色の瞳以外、もっとあかりのことを知りたい。

そう思い、そう願うのは、俺のわがままなんだろうか?

あかり、俺はお前を知りたいんだ。
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