秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~
母さんは慌てて手を引っ込めて、

ぷりっと頬を膨らませてから、

「もうっ、最近みっくんお母さんに冷たいんだから、

 いいもん、たけぞうに癒してもらうから~」

とのたもうた。


「たけぞう」は子猫だ、この間公園で拾ったらしい。


半分反抗期に足を突っ込んでいる俺の代わりに、

今は子猫を溺愛している。


おかげで、母さんの手は引っかき傷だらけだ。


「たけぞうも、いい迷惑してんじゃないの?」


「そんなことないもん。」


ぷりぷりしながらたけぞうを探しに行ったみたいだ。


はぁ、俺も誰かに癒してもらいたいよ。


ちらりと、指に巻かれた湿布を見る。


これは、見せられないだろ。


救急箱から新しい湿布を取り出し巻きつけた。


メッセージ付きの千葉の涙でふやけた湿布。


永久保存しなくちゃな。


キッチンからラップを持ってきて、くるんだ。


僕のやってることってもしかしてかなりイタイ?




まあ、しょうがないよな。

好きなんだし。


湿布にラップの上から口を寄せた。


ぎゃっ、俺何やってんだ。

何をやってもイタイな今は。



ふぎゃふぎゃっ

ッシャー

「たけぞぉ~!!!」


母さんの声がする。

たけぞう逃げたか

騒がしい家だな。


ぼくは、苦笑して、PCのスイッチを入れた。









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