秘密だよ?~ピアノとバスケそして君~

さよならの足音

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「今度の土曜日?

 聞いてないよ。その日は俺用事あるから!」

ぼくの意見なんか屁でもないって感じで、

母さんは首を横に振る。


「先生来週から演奏旅行に行ってしまうらしいの..。

 今度の土曜の1時から3時までって時間無理言って

 見ていただけることになったから 

 その日に東京行くわよ。

 これは変えられないの。」


「なんで東京なんだよ。

 先生の家に行けばいいじゃんいつもみたいに。」


「だから旅行中に時間をもらって、

 お知り合いのお宅を使わせてもらうのよ。」


「いいよ。そんなことしなくったって、別に、自分でやるし。」


「わかってるくせに、一度見てもらうだけで

 演奏がどれだけ良くなるか。

 コンクール前に見てもらいたいはずよ?

 今までだってそうしてきた。

 今回は、いつもよりずっと大事だってわかってるわよね。」


そりゃ思ってはいたさ、

第三者に間に入って聞いてもらい

問題点を指摘してもらうことは、

独りよがりな演奏にならないで済む。


演奏家の先生の指導は的確で、

それだけで行って帰ってくるほど違ってしまう。


けど、口に出したことなし、頼んでもいない。

「だけどっ」


「天道っ!わがまま言わないで!」


「わがままはどっちだよ!母さんは勝手すぎるよ!

 いつでも、自分の思い通りになるって思ってんだろ!

 俺は母さんの人形じゃないんだよ!」


ぼくは、ドアに向かってバンッってカバンを叩きつけて

階段を駆け上がった。




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