甘い罠-Spider or Butterfly-
事の始まり
「あゆ、お願いだからもうちょっとだけ、笑顔!


渋々ってのが顔に出過ぎ!」


「にこーっ」


わざわざ擬音を口に出して笑顔を作った。


「そうそう可愛い可愛い」


あたしの機嫌を損ねるまいとした必死さが、そろそろ気の毒になって来た所で、普段通りに振る舞う事にする。


「それで、相手はどんな人なの?」


「この前の合コンで知り合ったんだけどね、良い人だよ」


THE良い人の類は、大概草食系だと相場が決まっているが、どうなんだろう。


押しに弱いタイプのあたしとは縁遠い感じがする。


「コウくんって人があゆの画像見て会いたいって言っててさ。


で、サキから合コン頼まれてたのもあって・・・」


「一緒にやってしまおう、と」


なるほど、この友人らしい合理的な企画に、あたしは巻き込まれてしまったらしい。




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