やっぱ幼馴染?
【第三話】 嫌な予感  -雅-



樹は野球部。

そして私は野球部のマネージャー。

クラスは違えど私と樹は幼馴染。


いようと思えばいつも一緒にいれる距離にいる。



でもその距離が…近すぎて遠い、そう感じてた。


実の事を言うと私は数年前まで野球をやっていた。
今はやってないけどね…別にやめたかったわけじゃない。


『やめる』っていう選択肢しかなかったから。しょうがないんだよ。


怪我をしてた。
何だっけ…オスグッドってやつでさ。膝が死ぬほど痛いんだよね。
あのときは痛くて辛くて…『もういいや』って思っちゃったんだよ。


でも、今更になって後悔してる。


樹とか…他の野球部員が楽しそうに野球してる姿。
皆の事は好きだから微笑ましく思うけど、心の底では憎いのかもしれない。
私のやりきれなかったことをしてるからね。

憎い、とか言ってもそんな深い意味はない。
言うなれば羨ましいっていう表現の方が正しいかな…。


さて、話は変わるけど今は放課後。
って事はこれから部活ってわけ。
私は野球部のマネージャー…もちろんグラウンドに行かなきゃならない。


*

グラウンドに着いた。
…でもいつもいるはずの樹の姿が見当たらない。

何かの影に隠れてんのか?そう思ってあたりを見渡すが樹の姿はなかった。
まだ来てないとか?…そう思ったが練習の始まる2、3分前だ。
先輩が来てるにも関わらず樹だけ来ないってものおかしい。


…私は眉間にしわを寄せる。

何となく、何となく…根拠はないけど嫌な予感がする。




何か心に引っ掛かるものがある、一体なんなんだろう?




でもそれが何か分からないまま私はいつも通りグランドに散らばる野球部員を遠目で見ていた。
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