自己チューなアラサー転勤族主婦の妊娠日記

喧嘩

5月12日(日)

 今日は父も妹も休み。

 午前10時半起床。だるい。

 最近、中の人(胎児)の足があばらまで来ていて、仰向けでも横向けでも寝苦しい。しかも寝返りを打つたびに、ガンガン蹴っ飛ばされる。

 毎日が寝不足で、全身に筋肉痛のような痛みがある。



 居間でみんなが朝食を取っている。

 別に食べたくもないのに、また摘んでしまう。

 これが便秘の元になる。



 パソコンに向かうが集中できず、やっぱり便秘のまま。

 仕方なくお風呂へ入る。



 お風呂から上がると、父と母が角館に行くとか行かないとかで言い合いをしていた。

「じゃ、行くか」と父。

「いいよ、畑仕事がしたいんでしょ?」と母。

「いいよ、行こう」

「いいよ、畑やって」

「そんなに言うなら、もう行かない」


 結局、父は新聞を読み始め、母は台所へ。


 別にこれで終われば問題ない。

 でも、そうはいかないことが目に見えている。


 母は先週から角館に行きたがっていた。

 今日行かなかったら、後で「本当は行きたかったのに、お父さんが畑やるっていうから」と愚痴られる。


 私&妹「お母さん、角館楽しかったよ。行ってきたほうがいいよ」

 何度も説得。

「いいよ、いいよ。天気もいいし、お父さん畑仕事したいんだから」



 今度はお父さん。

「ほら、お父さん。お母さんをもう少し誘って」

「じゃあ、お母さん。行く?」

「いいよ、いいよ」

「そんなにいいって言うなら、行かない」




 結局、父は畑。母は台所。



 ただでさえ、ストレスの多い妊娠中に、いらない気を使いたくないのに。



 夫からの電話で愚痴る。少しすっきりした。

 夫は午前中仕事をして、これから梅田に出かけるらしい。


 寂しそうだったので、「一人ハブしてみたら?」と提案。

 そこなら、サラリーマンとか外人さんが、ハブエールやつまみを食べながら、テレビを見たりしている。

「そうする」と夫。




 夕方、電話をしてみる。

「今、ハブの立ち席でビール飲みながら、ラムケバブ食べてる」

 なんか、楽しそうだ。

 電波が少し悪いので、ちょっと話をした後「飲み過ぎないようにね」と念を押し、電話を切った。




 午後五時、台所で妹が母の日用のご飯を作っていた。


 グラタン。


 炭水化物にチーズ。高カロリー過ぎて私には食べれない一品。


 昨日の夕食には母が炊き込みご飯を作った。

「M(私)に合わせていると、お父さんの身体が持たないから」といらない一言までつけて。


 今日もまた、夜ご飯が苦行。




「まあ頑張って。私はスイカを食べるけど」と、つい言った。


「何? その言い方?」と妹

「なんか、あんまり好意的じゃない言い方に聞こえる」


 そりゃ、そうだ。

 あれほどみんなに「炭水化物は食べたくても食べれない」と主張しているのに、誰も配慮をしてくれない。



 ただ、それを口にするのも面倒くさかったので「別に意味はないから、あんまり詮索しないで」と告げる。

「でもこっちは、気分が悪い」と妹。

 謝れと言いたいようだ。



 それはさすがにしたくない。


 私だって、妹の「妊婦は~したらいけないんだって」発言にイライラしている。でも、それを飲み込んでいる。



「とりあえず、意味はないから」とだけ言って、立ち去る。


 二階の部屋へ行く。

 イライラが収まらず、夫に電話。



 なんどかけてもつながらない。




 嫌な予感。




 夫はお酒で楽しくなると、歯止めが利かなくなる。

 そのせいで何度も失態を犯している。



 財布を無くしたり、知らない駅のベンチで眠ったり、カラオケの部屋を間違えた挙句、他人のCDを壊したりした。


 だから私が一緒でない限り、原則外で飲むのは禁止している。

 でも、ハブで2~3杯程度なら大丈夫。

 仕事も大変だろうし、それくらいはいいだろうと思った。





 何度かけてもつながらない。




 まさか、妊娠中に私が嫌がることをするはずない。





 気を紛らわすために、畑の草むしりをした。




 午後8時。

 夜ご飯。

 私の席以外、グラタンが並べられていた。

「グラタン美味しい」と家族がわいわい話す。


 一人黙々とスイカを食べ、二階へ上がる。




 夫に電話。


 何度もかけて、やっとつながる。




 電話の声で、酷く酔っ払っているとわかった。

「何で電話でないの?」

「だって、さっき電波が悪かったから」

「さっきって、もう何時間も前の話だよね」

「ハブの後、会社の人たちと飲んでたから」

「?! 何で?? そんなの許可した覚えないけど?」

「わかった。今からすぐ家に帰ればいいでしょ」

「何それ? どういうこと??」



 頭にきて電話を切る。



 イライラする。



 お風呂に入っても、全然リラックスできず、汗も出ないまますぐに上がる。


 その後、夫からの着信無し。



 まさかまだ飲んでいるわけ??


 何度も電話をかける。



 30分後、ようやくつながる。

「今家に着いた」と酔っ払った声の夫。

「本気で信じられないんだけど! 今私がお酒飲めない状況なの知ってるよね? 身体も重くて大変で、食べたいものも我慢してる状況なの、知ってるよね?」

「わかった、ごめん。今回のは全部俺が悪かったでいいよ。全部不満を俺にぶつけていいよ」


「!! まるで自分は悪くないみたいな言い方するんだね。何でこんなに辛い思いしてそんな人の子ども生まなきゃいけないのかわかんない」




 電話を切る。




 その後、夫からの着信は1度だけ。


 つまり、酔っ払って寝たのだ。





 涙が止まらない。




 もう、嫌だ。







 































< 190 / 248 >

この作品をシェア

pagetop