結婚白書Ⅱ 【恋する理由】


「親父がさ 一人で歩けるようになったんだ 仕事も少しずつ再開してる」


「本当?良かったわね 頑張った甲斐があったじゃない」



要は家の様子を よく話してくれた

お父さんを支えるために 彼もお母さんもお姉さん夫婦も 

それぞれが出来る 精一杯のことをことをやっている

彼の優しさは そんな家族の暖かさによるものだろう


そう言えば ホテルで要が寝ることはなくなっていた

彼の生活も落ち着いてきているみたい・・・


いつもなら 冗談を交え 私をからかいながら話すのに

今日は なんだか様子が変



「お袋が・・・」



そう言って 口ごもった



「どうしたの?」


「お袋が 彼女に会わせてって 円華に会ってみたいって言ってた」



えーっ! 私のことお母さんご存じなの?



「私のこと どこまで話してるの?まさか全部?」


「うん だいたい話した」


「歳も言ったの?」


「ちょっと年上だと言っといた」



ちょっとじゃないのよ 8歳も上なの!

そこが肝心なんじゃないの

いくら要が気にしないと言っても 親から見ればそうはいかないはずよ

あぁ 気が重くなってきた・・・



「お母さんにお会いするの もう少し待って」


「いいけど・・・」



枕に顔を埋めてしまった私を 彼が包むように抱き寄せた



彼にはわかってもらえない

歳の差にこだわっているのは 私だけ・・・


要には悪いと思ったが 沈む気持ちを どうすることも出来なかった







< 27 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop