結婚白書Ⅱ 【恋する理由】


「なによ そんな顔しなくていいじゃない

母親ってのはね 娘が誰かとお付き合いしてるってことくらいわかるのよ

すんなり結婚にいけない相手だろうとは思ってたけど 

それにしても長く付き合ってるなと思ってた

まぁ 日曜日に会いに行くんだから不倫じゃないわね」



お母さん アナタにはかなかいません

そこまで言い当てられたら 隠しても無駄ね

母にすべてを打ち明けた


彼の人柄 家庭の事情

年齢も・・・

相手の母親が会いたいと言ってきたこと

そして その相手は 以前 足を捻挫したとき 

毎日送迎してくれた 工藤 要だということも話した



「工藤さんだったの・・・お母さん 彼なら安心よ」



安心って お母さんそんなに簡単に言わないでよ!

”何を根拠にそんなこと” と言いかけたら



「円華 あとはアナタの覚悟次第ね 頑張りなさい」



”頑張りなさい”って 何を頑張れと言うのよ



「あら なによ 工藤さんと一緒にいて楽しんでしょ?気持ちが楽なんでしょ?

その気持ちを大事になさい そんな風に思える人に巡り会えたんじゃない

年の差がなによ 誰かを好きになるのに理由なんていらないの

お母さん 安心したわ 円華のことを ちゃんとわかってくれる人が 

必ず現れると信じてたもの

工藤さんのお父様のことだって アナタがしっかり受け止めるのなら 

きっと上手くいくわよ」



母の話は とても説得力がある

話を聞いてると なんの問題もないようにさえ思えてくる

私が今まで気にしていたこと すべてを超越していた


誰かを好きになるのに 理由なんていらない・・・

そうか・・・でも・・・



「でも 息子の付き合ってる相手が 8歳も年上なんて 

親としては気になるよね」



母が ”新茶をいただいたの ちょっと待ってて お茶を入れてくるから”

そう言って台所に行った



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