【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
◆闇夜、切なさ溶けだし。
目の前に広がる光景を、未だ信じられな
い私が居る。
眩しいくらいのスポットライト。
頭の上に乗っけられた、噂では本物のル
ビーが埋められているという冠。
耳が裂けそうだっていっても過言ではな
いであろう拍手。
悔しそうな顔で私を見ている女の子達。
まさか……まさか―――……。
『栄光のグランプリ、クイーンを手にし
たのは……柊美里さん!!』
まさか私がグランプリだなんて。
嘘に決まってる。
『なんと、ご主人様の辻宮様と揃っての
受賞ですが……心境は如何ですか!?』
ずいっとマイクが差し出されて、思わず
息を呑む。
い、如何ですかって……。
「えっとぉ……採点ミスかなんかじゃな
いんですよね??」
おずおずとそう言うと、ドッと笑いが立
ち込めた。