【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
大声でまくしたてる瑠璃に、慌ててしーっと人差し指を立てた。
自分が大声だったことに気付いたのだろう。瑠璃はハッと口をつぐむ。
そして、バツが悪そうに私を見上げてくる瑠璃に、苦笑いを浮かべた。
「別に、狙ってなんかないよ。女子の反感買いそうだし、やだ」
そう言うと繭が「確かに」と笑ってきた。
その時突然、ガラスの割れる音と、「すいません!」という声が聴こえてきた。
恐る恐るそちらを向くと、辻宮のテーブルで、若い使用人が謝っている。
どうやらコップを落としてわってしまったようだ。