【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
「辻宮さんって人から、お電話が来てい
るけど……」
「えっ」
私の知り合いに、辻宮だなんて、たった
一人しか居ない。
「受付に行けば、分かるから」
そう言った女将さんに頭を下げて、受付
に直行。
そして───……。
「……も、もしもし」
受話器を耳に当てながらそう呟くと、帰
ってきたのは逃げ出したくなるような無
言の威圧だった。
……あれ、怒ってる?
「えーと……」
『……。』
「……切っても良いですか?」
『切んなよ』
やっと喋った、いつもよりも少し低い、
辻宮の声。