奴隷戦士


「というわけでだな――」


白ひげと一緒に薄暗い廊下を歩いている。


彼は名をザクロと言った。


ここはウサギという化け物を倒すために設立された、Alice(アリス)という機関の研究所らしい。


ウサギという化け物は、ぼくはまだ見ていないから分からないけれど、人間を襲う大きな動物らしい。


何年かすれば、君も倒せるようになると彼は言った。


それまで、ここで強くなるように励めと。


クルトやジルたちは無事なのかと問えば、無事だと言う。


花緑青色の液体を飲むと強くなれるが、飲んだ瞬間、体が大きくダメージを受けるため、一時的に仮死状態になるのだそう。


だから、みんな死んだわけじゃない、とザクロは言った。


それを聞いてぼくは少し安心する。


なぜ、ぼくたちはここに連れてこられたのかと問えば、奴隷としてそのオークション会場に連れて行かされるのを見たからだと言った。


寺を燃やしたり、寺の大人を殺した男たちとザクロは関係があるのかと問えば、無関係だと答えた。


なぜぼくなのかと問うと、君には資質があるからだと言った。


それから少し歩いて、ある部屋にたどり着いた。


道場が一つまるまる入るくらいの、とても大きな場所だった。


足を踏み入れるとドアが閉まり、機械音が聞こえた。


「聞こえるか?その真ん中に君が探していた物を見つけておいた」


言われてその空間の真ん中に行くと、蓮の太刀が置かれていた。


どこか壊れていないか確認すると、安心したのか涙が出た。


これで、ずっと一緒。


あぁ、よかった。


と思った瞬間、影が差した。


なんだ、と思って顔を上げると人が立っていた。


長いくせ毛の茶髪の女の子だった。


無表情で、僕を見下ろし、そして彼女は思いきりぼくを殴った。
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