ビロードの口づけ 獣の森編


 なにしろここは人を食らう獣の森だ。
 ジンやミユが一緒でなければ、外に出るのは危険だろう。

 クルミは笑ってジンを振り返った。


「大丈夫です。屋敷に閉じこもるのは慣れてますから」
「そうだったな」


 ジンはクルミを抱き上げ、部屋の奥へ向かう。
 ベッドに横たえられ、覆い被さってきたジンに口づけられた。

 ひとしきり口づけた後、寝間着のリボンをほどきながらジンが不服そうに言う。


「人間の何が面倒かって、服を脱いだり着たりするのが一番だな」
「面倒ならやめてもかまいませんよ」


 ちょっと反抗してみたがジンは手を休める事なくニヤリと笑った。


「半裸の方が興奮すると言う人間がいたが、あんたもその口か?」
「違います」

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