思春期の恋



「ごめんな、待たせて」



柊司が私の隣にきた。


私は首を振った。


「剣道が見れて私は嬉しかったけど・・」


ボソボソッとそう言うと、

柊司は優しく笑って、手を繋いできた。



「あ・・・俺の手、小手臭いかも」


こてくさい?



柊司は、繋いだ手を離した。



「手だけじゃないか。


ごめん俺、汗くせー」




そう言って私から離れようとしたから、


私は柊司の腕を掴んだ。



「気にしないし、そんなの。



柊司を掴んでないと、歩けないし・・」




いや、本当はひとりで足引きずって歩けるんだけど。



でも、繋いでいたい、


柊司の手を。



柊司は、ふっと笑って、


私に掴まれた腕の手を開いて見せた。





大きな手・・・




私はその手に自分の手をそっと乗せた。


すると柊司がぎゅっと握ってくれた。




「帰るか」






私が頷くと、二人一緒に、


家へと歩き出した。







私の家の前に着くと、柊司は手を離した。


「じゃあ・・また明日な」




「うん」




柊司は、ポケットに両手を入れて100歩先の自分の家へと歩き出した。




待って・・・私、


ちゃんと柊司に自分の気持ち、


伝えたっけ?



伝わっているのかな・・・私の気持ち。


柊司といると、ドキドキするんだよ。


柊司と離れたくないんだよ。



私だけの柊司でいてほしいんだよ。



私は柊司が・・・・・









「柊司!」











< 36 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop