◇◆近未来科学商品◆◇【CANDY】

先生のあったかさに気付く度に、あたしの心もあったかくなる。


先生……

そよそよとなびく、柔らかそうな髪に触れた瞬間




「ん???」

パチッと先生はいきなり目を開けた。

ビックリして伸ばした手をひっこめる。



と、先生は大きな大きなあくびをして、コチラを見た。



「……後藤!!起きたなら声をかけなさい」

って先生は慌てていつもの先生っぽく言うけど、もう遅いよ。




あたし、先生の寝顔みちゃったんだから。



「今、起きたところなんで」

とっさについた嘘は我ながら完璧な嘘だった。



「そうか……で、体調はどうなんだ?」

先生はメガネをかけるとクイッと押し上げた。



「それは、もう全然大丈夫です!!」

本当は少し頭が痛むけれど、先生が心配するかもしれないから言わなかった。



「そうか。突然崩れ落ちるように倒れたから驚いたんだぞ」

難しそうだと思ってた本を、先生は持ち上げると、立ち上がって近くに置かれているカバンの中にしまった。




「先生?なんで、先生がここに?」

これが占いによる“ラッキーハプニング”なのかな?


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