青空の神様
夏の匂い
奥の、この部屋が一番涼しくて過ごしやすい    しかし、あたしは寝てはいない、目を閉じ、耳をすまし、二階にいる、あの人の動きに、聴覚の神経を集中させている。まだ、大丈夫、今日は大丈夫、物音一つ聞こえてこない、きっと、あの人も寝ている、夏の暑さにうんざりしながら、涼しい扇風機の、心地よい風を感じながら、きっと気持ち良さそうに寝てしまったに違いない。だから、もう、目を開けて、母や祖母がいる、茶の間に行って、夏休み子供スペシャルとかいう、ほぼ一日中、アニメを流し続けている、あの番組を見に行こう、今日は何だろう、昨日は幼稚園の頃、再放送されていた、洋風のアニメがやっていた、今日はあの続きだろう、優しい声のナレーションが耳に優しく、時間も暑さも、何もかもを忘れさせてくれる。今、何時だろうか。   ミシッ、二階で人が動く気配がした。あの人は起きていて、滑るように階段を降り、自信ありげに、ドスドスと歩く。タバコの臭いだ、喉を鳴らし、咳をすると「ななみは?」母は答えた、「奥で寝てるでしょ。」もう終わりだ。というよりも、今日も始まった。  「ななみプールの準備しろ。」          「ん、はい。」     心と脳が凍りついた、嬉しくない、逃げたい、助けて、神様お願い。
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