† of Human~人の怪異
教師の果敢な質問で、クラスは少なくとも、二人がどんな心持ちなのかを知れた。

桜庭紅蓮はなにかを楽しみして喜び、上野楓はなにかへ激しく怒りを覚えている。

両者が何に、どうしてそんな感情を抱くかまでは、さすがに測れない。が、ほぼ間違いないだろうとクラス全体――無論のこと和幸も、思った。

(ん、まあ)

しかし、

(俺には関係ないか)

和幸は気楽に、シャーペンをくるりと回した。

桜庭紅蓮も上野楓もたしかにクラスメイトである。が、やはりそこまで親しいわけでもない。

くるり。

二人になにか深刻な悩みや事情があるのなら――くるり――それはほかの、彼らに親しい友人が聞くだろう。

そう――くるり――だから自分は――くるり――関係ない。



そして――

関係なくはないことが、桜庭紅蓮の貧乏ゆすり記録、四時間四十四分四十四秒更新と共に、クラスを襲った。
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