† of Human~人の怪異
事実として世間では、あの謎の大惨事を経て、生存者が三人になった。

不思議なことに、その事実が広がっただけで、あとはなんにもない。

厄介なマスコミが押し寄せることもなければ、ニュースでの報道も、たった一度きりだった。

いや、厄介といえば……やはり、あのあと夜が明け、いよいよ事件が街中に知れ渡った時、母に絞め殺されるのではないかと思うほど、抱擁を食らった。

さすがに赤面したが……素直に、母の心配を受け取ることができたのではないかと思う。

上野から聞いた分によると、教会には今回のような出来事を処理する仕事があるらしい。

和幸には事件の裏、その処理についてなんの情報も入っていないが、事件直後に話を聞きにきたアルという刑事も、どうやら一枚噛んでいるらしい。

やはり、あの男はなにかを始めから知っていたんだなと、和幸も納得した。

もっとも、教会の事後処理は出来事を完璧に隠蔽するものと、とことん闇へ葬る二種類がある。

今回執行されたのは後者であり、あの惨劇の原因、関係者、そもそもなにが起こったのかも、ほぼ完全に秘匿とされた。
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