† of Human~人の怪異
これから先、彼へ打ち明けることもないだろうと思う。

だから、彼が時々投げ掛けてくる、評価という名目の『好き』に、頬が緩んだ。

区長がわざとらしい、演技のような咳払いを経て、確認してくる。

『おほん。それでは粛正使徒、第十七番、上野楓に本件を一任する。条約に則り、必要であらば桜庭紅蓮へ粛正を下せ。異議は?』

「ありません」

『よし。頼りにしてるからね』

「はい。区長」

精一杯の誠意を乗せた返事をしたところでちょうど、計られていたように、上野は自宅へと帰りついた。
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