地味っ子?奮闘記
見えない影

朝、俺はもう一度、桜に聞いた

「昨日のこと覚えてるか?」

「・・・・・うん。こーちゃんの声が寝てたら聞こえて、泣いてるのが

分かって、夢の中で泣かないでって言ってたら、こーちゃんを思い出したの」

「そっか。よかったなっ」

桜の頭を撫でてやった

嬉しそうに、微笑む桜

「でも・・・・ほかは思い出せないの・・・」

うつむきながら、桜がつぶやく

「ばーか。あせんなって。なっ!!」

顔をあげ、頷く桜


俺は看護師さんに話をし、心療内科のDRに診察を受けさせた

最初の話通り、何がきっかけで思い出すかわからない

今回は、こーちゃんの声。

俺は、本当に何がきっかけかわかんないだなって感心した

DRの話では

これが、きっかけで少しずつ前に進めるだろうってことだ

でも、無理は禁物。思いつめず、ゆっくり様子を見ていこう

周りも、いつもどおり期待の目で見ないようにっと釘を刺して

帰っていった


俺は、こーちゃんに電話で説明し、一条家の方は任せることにした



「さく。俺午後学校行って、その後仕事行くから、今日は遅いぞ。

寝てろ」

本当は行きたくない

でも、行かないと桜が気にする

「えー起きて待ってるよー!!」

クソッ。可愛いこと言いやがって。無自覚野郎。襲うぞ。

「ちゃんと、消灯時間に寝なさい。君は病人なんだから。

返事は!!」

「はーい」

「じゃー行ってきます」

チュ


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