アルガドート・サーガ
 神々しいまでに目を惹きつける、その少女の登場によって。
美しい深緑の髪に、アメジストの濡れた瞳。
口元に刻まれる僅かな微笑は、見るもの総てを祝福するためにあるかのようだ。

文献に残された通りの姫巫女の姿に、ユラの登場だけで信じてしまうものもいただろう。

「……」

「さぁ、これでも私の言っていることが嘘だとおっしゃいますか?まさしくこのお方こそ、古の姫巫女」

「ふん、どこぞから拾ってきた娘に、それらしい服を着せればそれらしく見えましょう」

ラダムスは憎憎しげに呟く。
ユラはラダムスを見ると、困ったように微笑んだ。

「……どうすれば、信じてもらえる?」

「奇跡を見せてみるといい!」

ラダムスの言葉に、ユラはちいさく頷く。

 古の姫巫女は、命すら自在に操る女神アルガの化身。
当然、ラダムスはユラが本当の姫巫女ならば、その奇跡が起こせるだろうと言う。
もちろん、嘘だろうと高をくくってのことだ。

 ユラがそっと目を閉じる。
その首に掛けられたペンダントが、僅かに震えた。
青白い光がユラの周りに舞い踊る。
そして、彼女の足元から柔らかな草花が生まれていく。
石畳の隙間から、新芽を出しみるみる成長し、美しい花を咲かせていく様を奇跡とよばずなんとよぶのか。

 まさに、ぐうの音も出ないほど、ラダムスをユラは打ち負かした。

「これで、信じてもらえた、かな」

息を弾ませながらユラが問うと、ホールに感嘆の声と喝采がとぶ。
ユラが、姫巫女として認められたことを示していた。

 ただ一人ラダムスだけが、悔しげにその顔を歪ませ、ユラとマドリードを睨みつけていた。
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