君のいる世界
「…言わないならキス、するぞ?」
「…ふぇ?」
康君は私の両肩をしっかりと固定し、ゆっくりと顔を近付けてくる。
「ちょっ…康君!待っ…」
私は咄嗟に両手で康君の胸を押した。
だけど康君はびくともしなかった。
私の抵抗も虚しく、どんどんと近くなる顔。
「い、言うから待って!!!」
私は目をギュッと瞑って顔を背けた。
数秒立っても唇に何も当たらない。
でもまだ近くに康君の顔があるのがわかる。
目を開けようにも、これじゃ無理…
すると、微かだけどコンッと額に鈍い痛みを感じた。
どうやら軽く頭突きされたようだった。
「麗奈が俺に隠し事なんて十年早い」
その声と同時に、掴まれていた肩が解放されベッドのスプリングがギシッと軋んだ。
恐る恐る目を開けると康君は何もなかったかのように元いた位置に座り直していた。
今の誰…?
本当にあの…康君…?
今朝といい、今といい、今日は私の知らない康君ばかりで頭がパニック寸前だった。