君のいる世界




麗奈が俺を押しのけようとするけど、それがまた逆効果で俺を駆り立てた。


俺は鎖骨を一通り撫で回した後、わざと胸を避け脇腹から腰へと撫で下ろした。


その間も夢中で首筋の甘い香りと滑らかな肌を唇で堪能する。





「…か、いちょう……」



麗奈の震えるか弱い声が聞こえ、俺は我に返った。


麗奈の目尻から涙が一筋、流れていく。


俺はベッドの端に座り直した。





「…こ…こぅ…君…?」



「会長って…そのキスマーク、付けたやつか…?」



「え…」




麗奈はキスマークに手を当てた。


なんで会長のこと知ってるのって言わんばかりの不思議そうな表情を浮かべている。




「無意識…か」



こんな時に無意識に助けを呼ぶなんて…


その男は麗奈にとって特別な存在って事なのか…


胸が槍でも刺さったかのようにズキズキと痛む。




…情けねぇな、俺。




麗奈を見るとブラウスのボタンが第三ボタンまで外れ、裾がスカートからはみ出している。


侵してしまった後悔の波が打ち寄せる。






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