君のいる世界




私達はホームに人が少なくなってから改札口を出た。


駅から学園までの道中、同じ学園の生徒の視線をビシビシと感じた。




康君との噂のこと…かな。


昨日の今日じゃ、噂はなくならないだろうし。




「皆、麗奈が電車通学してるのが珍しいのよ。気にしない気にしない」



佳菜子は私の心中を察したのか軽く肩をポンポンと叩き、優しく声を掛けてくれる。


佳菜子もその噂が原因で心に傷を負ったはずなのに…


その優しさが嬉しくて私にも笑みが零れた。





「それにしても、麗奈電車の乗り方わかったんだ。切符の買い方とか方向とか」



「馬鹿にしないでよ。それぐらい常識でしょ。それに、昔はよく電車乗ってたんだよ」



お母さんがまだいる時は、よく二人で電車に乗って色んな所に行った。


お弁当持って動物園に行ったり、ショッピングに行ったり。


お母さんは一般家庭で生まれ育ったから谷本家の生活になかなか慣れなかったみたい。





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