君のいる世界




顔を上げると、息がかかるぐらい近くに息を呑むほど美しい整った顔がある。



か、顔…近い…っ!


男性に面識のない私は、今にもキスされそうな距離にカァッと顔が熱くなった。


息をするのも忘れてしまいそうなぐらい激しく胸が高鳴る。



「何?寝込み襲いにでも来たの?」



「…っな!!違…っ!」



離れようともがけばもがく程、会長の腕の力がグッと強くなる。



「ここだったら誰も来ねぇし、気持ち良いことしよっか?」



「…っ!!」



「そんな真っ赤な顔して…お前も満更でもないんだろ?」



会長はふっと微笑むと、手首を離して今度はその手で私の右頬を優しく包み込んだ。


キラリと光る瞳が私を縛り付けるようで身動きが取れない。



「まっ…待って…私…「「黙って」」



やっとの思いで出た言葉は、会長の言葉に遮られた。


そして包んだ頬を引き寄せるように、ゆっくりと、確実に唇が近付いてくる。



も、もう…駄目…!!!




唇が触れ合う数ミリの所で私は目をギュッと瞑った。




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