君のいる世界

一から友達始めてみない?





私は生徒会室を飛び出した足で屋上に来ていた。


この学園のお嬢様達には、わざわざ屋外で過ごそうと思う生徒はおらず、屋上は一人になる絶好の穴場スポットで。


もちろん今も、屋上には私以外誰もいない。




「あ〜あ…お弁当も鞄も忘れて来ちゃった。最悪…」



屋上のフェンスに肘を付き、真っ青な空に浮かぶ雲をボーッと眺める。



「はは…変な雲…鳥の形してるし……私も、鳥みたいに空飛んでみたいな…」




自由になりたい。


何処か違う世界へ、飛んで行きたい。


こんな所、もういたくない…




入学してからは、何か嫌なことがある度にここに来て空を見てる。


無限に広がるこの空に向かって、思いっきり叫ぶのが私のストレス発散方法。



ここが学園で唯一の私の居場所。





「私が…一体何したって言うのよ…」



さっきまであいつに触られてた頬にまだ手の感触が残ってる…


掴まれた手首にも、腰にも…


掴まれて少し赤くなっていた手首を摩る。


あいつの温もりが早く消えるように。




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