君のいる世界




私は言葉に詰まった。


確かに康君とは、今物凄い気まずい…


だけどさっき泣いてしまったのは康君のことは全く関係がない。




「…康介君も凄く心配してた。麗奈さんがいないってわかって、すぐ学園に向かったのよ。そしたら友達と仲良さそうに歩いてるあなたを見つけて、学園に入るまで見届けて帰って来たわ。放課後はいつもより早く迎えに行って…だけど…」



トミさんは、そこで口を閉じてふぅっと軽く息をついた。


私はマグカップを両手でギュッと握ったまま、さっき浮かべたマシュマロに視線を落としてトミさんの次の言葉を待った。


少しの間を置いて「でも…」と口を開いたトミさんは、私の頭をふんわりと撫で始めた。




「何はともあれ麗奈さんが無事で、本当に良かった」



パッと顔を上げると、トミさんは慈しむように目を細めて微笑んでいた。




あ…この感じ…




私の中に何処か懐かしい感情が沸き起こった。


そうだ、昔よくお母さんにこうして頭を撫でてもらっていたっけ。




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