君のいる世界

壊してやるよ





昼休み終了間近。


私は山下さんと別れ、鞄を取りに生徒会室に向かった。


その足は軽やかで自然と鼻歌も出てしまう。




あれから私達は時間が許す限り色んな話をした。


こんなに時間が経つのが速く感じたのも、学園の鐘の音を聞いて寂しくなったのも初めてだった。


だけどそんな焦らなくても、これから時間は沢山ある。




友達が一人いるだけでこんなにも心強くて、自分が明るくなるなんて知らなかった。






「ご機嫌だな」



生徒会室の扉を開けると、ソファで新聞を広げる会長は私を一切見ずに感情のない声で言った。




完全に忘れてた、会長の存在…


せっかく機嫌が良かったのに、数十分前の出来事を思い出して一気に気分が下がる。


声を聞くのも視線を合わすのも嫌…


私は何も答えず、机に置いてある自分の鞄を持って扉の取っ手に手を掛けた。




「おい、忘れもん」



相変わらず無愛想な声が聞こえ、無視したい気持ちが大半を占めていたけど、忘れ物と言われたら振り向かないわけにはいかず…


渋々振り返ると、会長が生徒手帳を掲げていた。



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