君のいる世界




最近、この幸せが怖くなるときがある。


幸せ過ぎて、いつか壊れてしまいそうで。


もし壊れてしまったら私はきっと耐えられない。





「もしかして嫌われたくないって思ってます?」



「っ!ど、どうしてわかるの?」



「顔に出てますよ。いいですか?クリスマス会いたいって言ったぐらいで重荷になったり嫌われたりしません。寧ろ男は嬉しいと思いますよ?」



「…そうなの?」



「そうですよ!少し目を潤ませて上目遣いで言えばお兄ちゃんなんてイチコロですよ!」



目を潤ませて上目遣いって…


琴音ちゃんって私より年下だよね…?


それさえも疑ってしまう程の力説と説得力に、ただただ圧倒された。




それから色んな恋の指導を受けたのは言うまでもない。





「さ、そろそろ戻ろうか」



カップの中に残ったコーヒーを飲み干し、トレーにゴミ屑を纏める。



「麗奈さん。お兄ちゃんから聞きました。お父さんのこと…」



琴音ちゃんの言葉に肩をビクッと揺らし、その手を止めた。






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