君のいる世界




「会長!!何やってるんですか!?」



私が何も言えず固まっていると、廊下の端の方から救いの声が聞こえた。


途端に金縛りが解けたように身体が自由になり、パッと会長から離れる。




た、助かった…


あのまま山下さんが来てくれなかったら、私どうにかなってた。


またキスされてもおかしくなかったし…




「ちっ…良かったな。邪魔が入って」



会長はそう言うと、背を向けて帰って行った。






「谷本さん、大丈夫?」



「うん。大丈夫!助けてくれてありがとう」



私は左胸に両手を当てた。


まだ胸がドキドキと激しく高鳴っている。


このドキドキは何?






その後、山下さんと別れて迎えに来てくれた車に乗り込む。


車の窓から見えるいつもの街並みが、友達が出来てから色付いて見える。




今度、山下さんとショッピングしてカフェに行こうと約束した。


窓の外の世界へ行ける。




憧れてた未知の世界。


一体、どんな所なんだろう?





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