君のいる世界




「それと朱美さん。あなたもただで済むと思ってはいませんよね?」



祖母の冷たい視線が後ろに立つお母さんに向けられる。



「お義母様!麗奈は……「「あなたにお義母様と呼ばれたくありません」」



「…っ!」



「麗奈は谷本の大事な一人娘。あなたが麗奈に会うことは許されません。これは裁判で決定されたことです。それに小出財閥とのお見合いの時もホテルに来たあなたに言いましたよね?谷本から逃げた貴方に口出す資格はないと。あなたもそれはわかっていますよね?」



え…?


あのお見合いの日、祖母とお母さんは顔を合わせていたの?




ふとお母さんと再会した日の会話を思い出した。


店の裏の公園で、大輝がお母さんに見合いの日にホテルの近くにいたのは偶然か聞いた時、お母さんは自嘲するような薄い笑みを浮かべた。


そして「でも……」と言葉を止めたお母さんは、眉を下げて一瞬だけ辛そうな表情をして何かを思い出してるようだった。


すぐにいつもの穏やかな笑顔に戻っていたけど…




あの時、お母さんは祖母に言われたことを思い出していたんだ。


だからあんな辛そうに顔を顰めて…





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