君のいる世界




「あれ?門のとこに警備員配置したんだ?」



さっき麗奈に挨拶してきた人物は、眉毛が太く強面の警備員だった。




「あ…そうなの。最近物騒だからって…祖母が……あのね、ちょっとここで待っててくれる?」



麗奈はそう言うと、走って家の中に入って行った。


今、なんかはぐらかされた気がする。


さっきまであんなに良い雰囲気だったのに…




ふと視線を感じて顔を向けると、警備員が鋭い目付きで俺を睨んでいた。


何なんだよ…


気になる事が多過ぎて苛々する。


俺はポケットに入れた手を、苛々を抑え込むようにギュッと握った。




数分後、麗奈は紙袋を大事そうに抱えて駆け足で戻ってきた。




「これ…その…クリスマスケーキなの」



「え?ケーキ?」



「この前、お前が焼いてくれんだろって言ってたでしょ?だから…」



麗奈は赤くなった頬を隠すように俯き加減に言った。





< 403 / 497 >

この作品をシェア

pagetop