君のいる世界




俺は、谷本麗奈に近付くチャンスを窺った。


だけどあいつは一人になる事があまりなく、なかなか近付く事が出来なかった。


登下校は車だし、学園ではあいつに媚びる汚い奴らに囲まれるし。




良いとこのお嬢様は、大抵気取ってて人を馬鹿にするような性格が醜い奴らばっか。


この学園はお嬢様学園で、そういう腐った人間ばっかで反吐が出る。




だけど谷本麗奈はどこか違う。


一人になる時を狙うためにずっと観察していたせいか、あいつがどんな女なのか嫌でもわかった。




自慢話の一つもしているところを見た事がない。


ブランド品を身につけたり、誰かを見下したりもしない。


自分に近付いてくる奴らを見る目が、何というか冷めていた。




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