† of Ogre~鬼の心理
そのかわいくないお嬢さまの隣、いったいどんな神経をしているのか、よっぽどのマゾなのか、大してヤな顔もせず荷物持ちをしている少年が口を開く。

「あの、大丈夫ですか? 血、出てません?」

うそを言う必要もないので、出ている、と答えてやったが、

「ああ。やっぱり。大丈夫ですか?」

少年の顔つきはさして青くもならなかった。

どころか、大丈夫かと訊ねているくせに、実際のところ、俺のことなどどうでもいいと思っているのが丸見えだ。

(なんだ、このガキ)

人のよさそうな笑みを浮かべているこの少年が、なんとなくだれかに似ていると思ったが――

思ったのだが……ううむ。思い出せん。やめた。

やれやれと、真輝が天秤のようなポーズで肩をすくめる。

「仕方ないわね。仁、肩ぐらい貸してあげるわ」

 タ ダ
「無料だろうな」
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