† of Ogre~鬼の心理
――とその時、ふいに、矛盾のかけらが深層意識の床に落ちて音を立てた。

ぱちりと、小さな火花を散らして。

急激に、喉が渇いてくる。

渇いた喉が、それを欲し始める。

私の中のソレが、角の生えた般若の形相を、おもむろに浮かび上がらせてくる。

「さて」

と、短くなったタバコを、あろうことか握り潰すことで消火した仁が、立ち上がった。

力なく開かれるその掌に、タバコの吸い殻は、もうない。

「俺はちょっと下準備でもやっておこう。とりあえず、ことの本題はアルが帰ってから、」

「仁」

「あん?」

遮った私に振り返った彼女は、

「どうしよう私――お腹空いたわ」

私の目が、血走っているのとは違う、緋色を帯びているのを、見ただろう。

くっく、と、苦笑、された。

「こんな時に、……お前のお行儀の悪さは、もういくらかどうにかならんのか。少しは反省しろ、与太者が」

と、ひどくおもしろそうに、困った顔で。
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