† of Ogre~鬼の心理
そんな隠れ蓑に私達を入れている理由は、簡単。

彼は、長く永く生きて褪せ始めている日々に彩りを加えたいと言っていたが……それだけじゃない。

彼を追っている存在に勘づかれた時、私達を当駒にするためだ。

自分がその闇から逃げる時間を、稼げるように。

ひどいとは、思うまい。

先に言ったとおり、私も仁も家族を利用している。

利害関係の一致している私達の生活は、しかしことまっとうな人間から見れば、腹黒いものにしか思えないだろう。

そもそも私達も初めから、まっとうではないのだから。

「はは……」

と、アルが失笑とは違えど、呆れた風に笑った。

笑顔を絶やさない彼だが……しかしまた、暗い方面での笑いこそ、実は多彩だ。
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