† of Ogre~鬼の心理
軽い冗談を交え、言葉遊びを続行する。

こういうものは、スピーディーな思い込ませが肝心だから。

が、内村は僕が促すよりも早く、口を開いた。

「あと振り返るとすれば犯行手口ですけども……やっぱり次の殺人も、犯行現場と遺体遺棄の場所は異なるんでしょうね」

どうやら、

「先の被害者と共通点のある人間を街で襲って、バラして、ひと気のないところまで運ぶ。うへぇ、相変わらず猟奇殺人ってのは穏やかじゃないですね」

「そうだね。ほんと、穏やかじゃないよね」

もう、僕が掻き乱す必要はないようだ。

内村の中では、猟奇殺人が現実のものとして色と形を持った。

恐らく彼の頭の中には、好き勝手想像された犯人の顔なんかも思い描かれていることだろう。

まさかジェイソンだのフレディだのは思い浮かべてないだろうけど、かくにも捜査はこれで、誤った方向に足を向ける。

あとは謎が謎呼ぶ迷宮入りにしてしまうか、犯人を適当なところから引っ張り出せば、事件は消滅、あるいは偽りの解決を迎える。

大丈夫だとも。

今の世の中、犯してもいない殺人を自分の所業だと叫ぶ馬鹿な輩は、捨てても捨てても処分しきれず、腐って溶け出すほどいるんだから。
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