† of Ogre~鬼の心理
他人を誘惑したり、洗脳したりする手段はあるけど……

電話越しというのは無理だ。せめて相手の瞳を見て、お互いの視線を認識できる距離でないと意味がない。

「あのね風間くん」

と、少し口調を強めてみた。

「僕は大人で、君は、えーと、推測するに高校生くらいだとは思うけどね、お互いに暇じゃないんだよ。僕は――あー、君もここに電話をかけてきているんだからわかってるとは思うけど警察であって、対する君は学生。どちらにもやるべき本分っていうものがあるよね。いたちごっこの無意味な電話には付き合ってられないよ?」

『……』

聞いているのかいないのか、受話口からはわざとらしい沈黙だけが返ってくる。

溜め息を、これも三度目、ついた。

本当ならこんな電話、さっさと打ち切ってしまうのが一番に違いない。

それをしないのは、彼が開口一番に真輝ちゃんの名前を出したからだ。

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