† of Ogre~鬼の心理
風間純の話は、もっと聞き出さなければならない。

彼がなにかに影響されて発言を制限されている立場だろうと、質問の方向性を変えたり、変化球でなら言葉を引き出せる。

そのためには、もっと会話が必要だ。

直接逢うではなくても、できるなら、二人で。

視線を正面に戻し、努めて冷静に、風間純へ指示した。

「ああ待った。風間くん、君は今、ケータイからかけてるのかな?」

『はい、そうですけど……それが?』

「なら番号を教えてくれるかい? こっちからかけ直す。今は署内にいるからね。君との話はプライベートな内容になりそうだから、少し場所を移動したいんだよ」

『わかりました』

デスクに置いてあるメモ用紙を破り、風間くんが伝えてくる番号を書いていく。

その傍らで内村に、「そういうわけだから、少し席を外す」と目だけで伝え、ウィンクした。

数秒、しつこいくらいに僕を直線で見つめてから、内村はウィンクを返してくる。了解の意だ。
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