† of Ogre~鬼の心理
トンネルの生み出す暗がりに一歩、踏み込んだ。
明暗の差を、瞳孔が徐々に拡張することで実感する。
たしかこういう物の怪がいる。洞窟のふりをして大口を開け、何者かが迷い込んだ瞬間に閉口してしまう。
さながらわたくしはその臓腑に入り込んだようなものだろうが……入り口は、遥か背後でしらしらと光っていた。
裸足のわたくしには、コンクリート固めの地面はアスファルトよりもなお冷たい。
均されただけでしかない白いコンクリートの表面は、やや、小麦粉をまぶしたような肌触りだった。
道が緩やかにカーブを描くところまで、進む。振り返ると、さっきとはやや視界の右側にずれた入り口が光っている。
前を向く。入り口までの距離から察すに、だいぶ奥まで入ってきている。が、女の姿は見当たらない。
さらに奥のほうまで先に進み、待ち伏せているのだろう。
いいとも。そのほうがわたくしも、やりがいがあるというものだ。
明暗の差を、瞳孔が徐々に拡張することで実感する。
たしかこういう物の怪がいる。洞窟のふりをして大口を開け、何者かが迷い込んだ瞬間に閉口してしまう。
さながらわたくしはその臓腑に入り込んだようなものだろうが……入り口は、遥か背後でしらしらと光っていた。
裸足のわたくしには、コンクリート固めの地面はアスファルトよりもなお冷たい。
均されただけでしかない白いコンクリートの表面は、やや、小麦粉をまぶしたような肌触りだった。
道が緩やかにカーブを描くところまで、進む。振り返ると、さっきとはやや視界の右側にずれた入り口が光っている。
前を向く。入り口までの距離から察すに、だいぶ奥まで入ってきている。が、女の姿は見当たらない。
さらに奥のほうまで先に進み、待ち伏せているのだろう。
いいとも。そのほうがわたくしも、やりがいがあるというものだ。