† of Ogre~鬼の心理
とりあえず、咳払いでもしておこう。ついでに、インテリかましてメガネを押し上げてみよう。
「んっ、んー。僕は警察だ。君、そこでなにをしているのかな?」
すっとぼけたことを抜かしながら女の気を逸らそうと、わざとらしく胸ポケットから警察手帳を出してみた。もちろん僕は本職なんだから、これは本物だ。
ただ、
「アナタ……」
横たわる真輝ちゃんへ手刀を構えていた女には、そんなもの、なんの関係もない。
生憎ながら夜目がとてもとても利くせいで、綺麗な白い顔の眉間にしわがにじり寄っていくのが、しっかり見えてしまった。
効果音がほしいなら、ぎりぎり、もしくは……いや、やっぱりぎりぎり、だ。
そうとも。彼女は如実に感じ取っているのだ。
「――あの、蝙蝠を操っていた張本人、ね」
「……あー、うん、よく、おわかりで、うん」
僕という存在の主軸が、人間ではないということを。
「じゃあ――仕方ない、茶番はやめようか」
ふ、と鼻から息を、肩から力を抜いて、手帳をポケットに戻す。
瞬間に、僕は動いた。女も動いていた。同時だった。
「んっ、んー。僕は警察だ。君、そこでなにをしているのかな?」
すっとぼけたことを抜かしながら女の気を逸らそうと、わざとらしく胸ポケットから警察手帳を出してみた。もちろん僕は本職なんだから、これは本物だ。
ただ、
「アナタ……」
横たわる真輝ちゃんへ手刀を構えていた女には、そんなもの、なんの関係もない。
生憎ながら夜目がとてもとても利くせいで、綺麗な白い顔の眉間にしわがにじり寄っていくのが、しっかり見えてしまった。
効果音がほしいなら、ぎりぎり、もしくは……いや、やっぱりぎりぎり、だ。
そうとも。彼女は如実に感じ取っているのだ。
「――あの、蝙蝠を操っていた張本人、ね」
「……あー、うん、よく、おわかりで、うん」
僕という存在の主軸が、人間ではないということを。
「じゃあ――仕方ない、茶番はやめようか」
ふ、と鼻から息を、肩から力を抜いて、手帳をポケットに戻す。
瞬間に、僕は動いた。女も動いていた。同時だった。