† of Ogre~鬼の心理
そうでしょう。これは私の声。アナタならわかるのでしょう。私の声。私はアナタの声を聞いたのだから、アナタにも私の声はわかるでしょう。

藤岡、わかるでしょう。ここはどこ。アナタはどこ。私は真輝。アナタは、そう、藤岡。

藤岡、どこ。そう、声は、さっき聞いた。

だから行こう。行くわ。私のことがわかるのでしょう。だから私だってわかる。私にだってわかる。私は藤岡のところに行く。

今、私はなにを見ているのだろう。わからない。わからないから耳に頼ろう。

この熱い視界に、輪郭というものはない。あるのは遠いのか近いのか、そばにいるのかいないのか。

藤岡は?

ひゅるり――

風が――

さあ真輝――

私の頬を――

ひゅるり――

静かに――

こっちだよ――

撫でる。
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