† of Ogre~鬼の心理
ウリエル――『神の火』と称される天使。

そんな、世界の魔法使いでさえ契約している者がいるか知れないものの炎を、どうして、魔法使いでも魔術師でもない真輝ちゃんが――?

……――いや。

可能性は、あったじゃないか。

「――仁、まさか、それは……」

それはあまりにもそばで、あまりにも最近の、可能性。原因。というより、つい昨日の出来事だ。

《ああ》

と、今度はすぐさまの返答。これも仁にしては珍しく、沈痛な声だった。

《真輝のヤツは昨日、俺のウリエルを引っ張り出して食ったからな。あれがもし、そういうことなら――信じられんが、現実だ……。吸収、しやがったんだよ真輝はっ……!!》

なにを、という補足は、わざわざ必要なかった。

真輝ちゃんが、仁の炎――ウリエルの火を、その未知の可能性で自分のものにしてしまったのだ。

つまり、今朝真輝ちゃんを蝕んでいた高熱は、ウリエルの火を宿した体が悲鳴をあげていたんだ。
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