† of Ogre~鬼の心理
近づけない!

仁のところへ転送できない!

真輝ちゃんを助けられない!

このままでは、彼女の器が……!

「真輝、ちゃん……っ!!」

せめて、本人が正気の半分でも取り戻してくれればと思ったその時、

ぼう、

といっそ間抜けな、けれど轟音がした。

「いうあああああああああああああああああああ!!」

紅い乱流の中で、真輝ちゃんのひとえが、セミロングの黒髪が舞い上がる。

狂乱熱気と赫灼咆哮、それが、真輝ちゃんを炎の中へ包み込んでいく。

さながら、世界そのもなのが焼け落ちる――いや、燃え上がるような錯覚。

しかし真輝ちゃん自身にはその熱も圧も伝わっていないのか、彼女は赤い嵐の中に立っているようだった。

わかる。彼女は内側から焼かれているのだと。内部で、その烈火に抗っているのだと。

それでも……!

「真輝ちゃ」

ん! と彼女の焼失を危惧して叫んだ僕は、見た。

地獄に等しい高熱と暴圧を苦にもせず浮遊し、彼女へ近づく亡霊を。
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