† of Ogre~鬼の心理
「一ツ橋、お得意の直感やら達観やらで、適当な可能性を言うな」

「はて、さて。封印されていた聖音が呼び覚まされるほどのなにかが、あのお嬢さんに秘められている――私は、今回のことをそう感じましたがねぇ?」

「……」

「ねぇ、〝千、約〟?」

口角だけを吊りあげるにたりとした笑みを見せつけて、一ツ橋は正面に向いた。

その姿が風に吹かれ、砂のようにざらざらと崩れていく。

ヤツが完璧に消え失せてから、ひとつ、言ってやった。

「真輝のことは、お前の知ったもんじゃないだろうに――与太者が」





< 382 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop