† of Ogre~鬼の心理
泡立ちが悪くなって、洗剤を付け足す。

以前アルから洗剤の節約を訴えられたが、泡が立たないのだ、仕方がないと自分の中で言い訳する。

三人分だろうと、洗って、拭いて、食器棚に戻す――これがなんとも、面倒くさい。

真輝には、そんなに面倒くさいなら、もっと『ぱっぱとやれる方法』を使えばいいとよく言われるが……冗談じゃない。

魔法がそんなに便利なものなら、今の社会、エレクトリックの恩恵など半分ですむ。

石油? そんなもんも要らんだろうな。

それができないから、面倒くさいのだ。



泡を洗い流して指で擦ると、食器からきゅ、きゅ、と小気味のいい音がした。

面倒くさいのは嫌いだが、ものが綺麗になるのは好きだ。

だから結果的に俺は綺麗好きだと思うのだが……

綺麗になるまでの行程が面倒くさいゆえに、どんどんと俺の周囲は荒れていく。

それは、結局『綺麗好き』とは言わないらしいが――『綺麗好き』と『神経質』を同じ釜に突っ込むのはやめてもらいたいものだと常々思っている。
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